あの日
雲に月が隠されて滲んだ日
何時間彷徨い歩いても帰りつかなかった日
背を越えた向日葵が立ち枯れていた日
言われてることがわからなかった日
一年がただの四季になった日
報われなくてももう構わなくなった日
君の好きだった野良猫に出会わなくなった日
なんに触れても熱くなくなった日
なんに触れても冷たくなくなった日
謝り続けて謝り続けて泣いてばかりだった日
全てを呪うと決めた日
電話してもつながらなくなった日
足の小指が折れてもほっといた日
何をほめられても踊らなくなった日
道端でまだいたセミが動かなくなるのを見届けた日
平行した世界線に縋るようになった日
予定を建てることをすっかりやめた日
夜に虫の声で叫び出したくなる日
靴のチョイスなんてどうでもよくなった日
時間の流れかたがそれまでとは変わった日
何度も繰り返し夢に出てくる日
何年たっても命日がくる
コメント
なかなか凄い写真ですね。ノンフィクションだろうと思わずにはいられません。
建てる。
1日というものを建てていたんだなあって再確認します。
そっちに行って飲みながら語り明かしたいと思うばかりでまだ腰は上がらずだし今何か出来るわけでもなし。
などなど思ってしまう詩でした。
あの日、が私に分かるわけではありません。
しかし、あの日、の重さを思います。思います。黙とう
でも、それをこうして詩に(した、とか、できた、ではなく)するしかなかった王殺しさんを尊く思います。そう思います。黙礼
何もかも剥き出しのままの「あの日」を一生懸命に想像して読むことだけが読者にできる唯一のことなのだろうと思いながら読ませてもらいました。
歳を重ねるというのは、たくさんの「あの日」と向き合うことなのでしょう。望む望まないにかかわらず。何度か繰り返し拝読し、ちょっと泣きたくなりました。