トウフ

 箸の先を吸いこみ
 崩れる一角
 舌に触れる冷たさ
 圧搾された細胞の
 燐光はほの甘い

 なにも載せず
 醤油すら垂らさない
 無表情のままを食す
 鼻腔をふさぎ喉へ居座る
 湿った豆の青み
 侵食の果て
 脳のクモ膜も白く色づき
 トウフになる

 皮膜の城が築かれる顔の裏がわ
 腑(はら)の奥は
 絹ごしを、黒い胡麻豆腐へ
 染め変えていく

 

投稿者

滋賀県

コメント

  1. 豆腐は、木綿より絹ごしのほうが好きです。二連目がいいですね。「トウフ」になる過程が、淡々と描写されています。

  2. @長谷川 忍
    様
     読んでいただいて、ご感想のお言葉もお寄せくださり嬉しいです。
     どうもありがとうございます。この作品、もっと書きたいことが
     あるのです。でも、クローズドな世界でコンパクトにまとまって
     いるだけになってしまいました。上手く表現出来なくておかしい
     かもしれませんが、ただ地上に在る豆腐の色を本当には誰も知ら
     ないのではないか。絹ごしを侵食している人間は、そのものが「
     白い」という概念に侵食されて脳みそも「トウフ化」してしまう。
     目に見える「白」の情報や常識をどうとらえるのか。もっと作品に
     スケール感の拡大を盛り込めるとよかったのですが……。またいつか、
     改訂しようと思います。

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