トウフ

 箸の先を吸いこみ
 崩れる一角
 舌に触れる冷たさ
 圧搾された細胞の
 燐光はほの甘い

 なにも載せず
 醤油すら垂らさない
 無表情のままを食す
 鼻腔をふさぎ喉へ居座る
 湿った豆の青み
 侵食の果て
 脳のクモ膜も白く色づき
 トウフになる

 皮膜の城が築かれる顔の裏がわ
 腑(はら)の奥は
 絹ごしを、黒い胡麻豆腐へ
 染め変えていく

 

投稿者

滋賀県

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