調理された都市

ハクサイとキャベツが畑から呪術する
一律にわたしたちをたべないで下さい
有史以前の調理場で君たちは
ほがらかな円形の石を並べて
インドサイ、孔雀、海亀の卵から
創立された科学薬品局の実験室の
猿たちの解剖がはじまるだろう、今から
しかしながら解剖室の絶壁からは
こうした光景は見えないはずなのだ
人参と玉ねぎが訴状を持って来京するのだが
鴨川の水辺のいさぎよく、首をさしだせ
汝等はトマソンの包丁で打ち首となる
大納言小豆で煮られてよ
ふつつかな頼山陽、とりこぼす蘭奢待
畑はだまり、ミミズたちは、神の降臨を待つ
欲望の畑、おまえは地獄へとまっさかさまであるぞ
アーティチョークは巨大な葉を広げている
その下で妖精たちは鍋の準備だ
キリストの誓いをあなたがたに授けよう
蜘蛛はへりくだり、芋虫は阿弥陀を拝む
その時だ、雲は割れ、五色の光線が
僧侶の頭越しにあらわれる
信じることはできないであろう、それでもいいから
畑のハクサイ、トマト、キュウリ、大根、その他・・・
すべての野菜たちは信仰を持ったのだ
はるかな銀河の中心から、わたしは来た
そしてあなたがたに言っておく、聞きなさい
コンロにかけた鍋の蓋は少しずらせて湯気の道を
あけておくのです
そうすれば人類のいじきたない欲望とも
共存できるのです、それではさようなら
湯気とともに消えたあの方は
西国浄土の仏様であったのか
呪術する畑の野菜たちは、光を求める
愛はこの地に蒔かれたのである
極楽、極楽、一心に
極楽、極楽、一心に。

投稿者

岡山県

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