いないいない
どうしようもなく落ち込んで、わけもなく涙の零れる日があったわけです
ガラス戸の向こうは、カーテンで閉ざされてしまっていて
まるで、世界から隔離されてしまったように思えました
朝か夜か、晴れか雨かもわからず、ただ布に溺れていました
風に波が凪いでは揺れるように、心もまた風にやられて
懐かしい匂いと、鮮明な思い出は、埃のように宙を舞って
誰かがいたはずの場所は、掃き溜めみたいにみえました
日が傾くたびに、何もしなかった今日を恨みます
何もできなかったあの日を、何も望まない明日を想うので
どうしようもなく、座り込むしかないのです
季節の風が、髪を乾かしてくれるまでは
テレビの液晶が、笑顔を映すまでは
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