夏の空

白雲は戸惑い揺れて
 青空は素知らぬ顔で黙す
  光は緑をゆらりと垂らし
 幼い記憶は雲の峰を這い上がる

すると郷愁に足下を失い
 存在の危うい形象に
  子供の咽び泣きが微かに聞こえ
 いつか空は意地悪く翳る

  手を伸ばし耳にする鈴音
 目をさ迷わせ指に触れる水冷え
届かぬ声に滲み出す瞳よ

口に漏れる言の葉は淡く
 それでも切に母の顔を求め
  母は横顔のまま笑むのだ

投稿者

茨城県

コメント

  1. こんにちは。美しいな。
    母は横顔のまま笑むのだ
    この最後の行、美しくて
    大切で泣いてしまった。

  2. @たけだたもつ
    さん ありがとうございます。自分なりの作風を確立しようとあがいていますが、なかなか難しいです……

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