Shibuya, 9 a.m.

連休の狭間
いつもは間詰めのナブラもおとなしく
アーバンコアには星の残滓が散らばる
キャリーケースの旅人たち
タイルの距離を測るリズム
嗅ぎ慣れないスパイスの香りに今日のランチを思う
タイトなTシャツを好んで着るような明るみ
文化の暖色
女性らしさってなんだろう
ストリートのSSコレクションに紛れながら
秘めてきたからだのラインを拾う為
リバーサイドのクラシックな住宅街から毎日
この迷宮に挑むのだ

マークシティから
交差点を横目に
岡本太郎をくぐり
かりそめのコンコースの行進を
JRの入り口は頻繁に変わり
遠くなった銀座線
深くなった東横線
スクランブルスクエアのコアを下り
ヒカリエの架け橋を渡る
2階に居たはずの私たちは坂の中腹に降り立つ
アクシュの日を待ち見上げながら
宮益坂の頂を目指し前進を続ける
かつて夢見た青山通りは
ただの日常になりつつある

修学旅行でみゆが買ったマフラーが地元で半額で売ってたなとか
コレクション前の30連勤で全身蕁麻疹が出たなとか
ななみんはどこで殉職したのかなとか
ああ
彼が通った道に導かれて渋谷を選んだのかなとか

「 PIZZICATO FIVEの歌に
“  アステアみたいにステップ踏んで ”って出てくるんですよ 亅
あなたが聴くようなアーティストですね
渋谷はあなたに似合うと思います
ああ
向かいの男性があなたを見開いた目でロックオンしていました
ぼくは誇らしく思ってしまいました
電車で隣に座っているなんて

ループさせている
神経をバグらせる湿り気を帯びた高層ビルのにおい
立ち並ぶデジタルサイネージ モニター プロジェクションマッピング
Vaundyが暗転し目を固く閉じて横たわるキタキツネの亡骸が映る
見えていたのは私だけ

 
 
 

投稿者

東京都

コメント

  1. @たちばなまこと

    日常の日々、同じパターンは安心できますね。
    子どもの頃、お出かけする場所は渋谷のあたり
    宮益坂から登る青山通りは脳内地図では英国で、
    かぐや姫の心の中のビートルズが歌を歌つてた
    たしかに、大人になっての日常の中での渋谷は、
    私の中でイメージ違いますね。同じ場所なのに

  2. 永遠のお上りさんである私には眩しい雑踏の光景でした。そして今の時代は、ななみんという見えない道が都会から郊外までを繋いでいるのですよね。昔はきっとなかったコミュニケーション手段だろうなぁ、とカスクートを食べながら、私もその思想に共鳴する一人なのです。

  3. カタカナ言葉を多用することで時代とそして東京の雰囲気を出すという手法が効いてますね。

  4. @足立らどみ
    さん
    らどみさんは東京の生まれ育ちなんですね。かぐや姫は神田川の方でしょうか。
    ルーティンが存在することの安心感はあるのだと感じます。激変する街と対比するようにゆるやかに続くものはいつか終わりがあって愛おしいです。

  5. @Saphiret
    さん
    私もお上りさんです。挙動がお上りさんなので諦めています。
    ななみんの場所は普段は通らないのですがくるみパンを買いたい時には。青い柱とかあります。人が多すぎて違う場所に感じますが。会社の人が連休にケニア料理を食べに行くと言っていました。
    見えない道って良いですね!

  6. @たかぼ
    さん
    渋谷の再開発の案内サイトをむさぼり読んでいた時期がありまして、まさにカタカナ天国です。叔父が東⚪︎エージェンシーに勤めていたことがあり「うふふ」となります。

  7. 冒頭からもう、か、か、かっけーっす。
    先日「おれの渋谷はヒカリエどまり」なんて会話をしたばかりですが、若い頃からなぜかビビって行けてないオルガンバーに、そろそろ行きたいなぁなんて思っていたところに不意に刺さってしまいまして。

  8. 東京の街の感覚が現代っぽく描かれていますね。かっこいい詩です。渋谷の駅前も大きく変わりました。…そう、遠くなった銀座線、深くなった東横線。私の年代だと、ヒカリエの前の東急文化会館が懐かしい。70年代後半頃の渋谷。

  9. @あぶくも
    さん
    えへへ、嬉しいっす。
    半自動的に職場へ向かう人々、レイヤーを別にしてインバウンドの群れ。ヒカリエも開業12年なんですってー。東横線も最近まで地上にあった気がするんですけれど。

    そんな禍々しいオルガンバーがあるのですか?めっちゃ気になります!!

  10. @長谷川 忍
    さん
    そう読んで下さって嬉しいです。
    タイトルと1連目まで書いて、ある意味“出来て”たのですが、2、3日寝かせて、噛み合わなさみたいのをつらつら入れたくなりました。抜け感?
    東急文化会館は写真で見たことがあります。バーチャルで50年前との違いを体験できるアトラクションがあると楽しいだろうと思います。

  11. @たちばなまことさん
    私は東京生まれですが、貴兄のようにかっこいい表現はできません。
    渋谷の宮益坂や明治通り、東急文化会館のプラネタリウムも懐かしいです。
    とても素敵な作品ですね。

  12. @レタス
    さん
    ありがとうございます!
    自分は田舎から出てきた者で憧れからかっこつけちゃってるだけなのかもしれません。
    宮益坂、平日は毎日通ります。今プラネタリウムは桜丘のほうにあるみたいですね。
    子どもと行ってみようかなあ。

  13. @たちばなまことさん
    桜丘の方に移ったのですね。子どもにはプラネタリウムはとても印象深く
    感じられると思います。是非に!

  14. 先日、とても久しぶりに渋谷の駅から地上に出たら、どっちの方向に行ったら良いのか、全くわかりませんでした(笑) 学生時代よく通っていたので、懐かしいです。渋谷駅、周辺の変貌についていけてませんが、久しぶりに歩いてみて自由な空気を感じ、いろんな生き方やものを受け入れてくれる街の雰囲気を感じました。詩を読みながら、生きている街の躍動感を、リアルに思い出しました。これからさらにどんな風に変わっていくのか、楽しみです。

  15. @ayami
    さん
    渋谷を感じてくださりありがとうございます!ayamiさんにとっても馴染みのある街なのですね。この詩での渋谷は再開発真っ最中のエリア、渋谷のほんの一部で。
    働く場所が変わって、たまたま縁が生まれた街です。たくさん歩いて道玄坂やらスペイン坂やら百軒店やら、詳しくなれると楽しいなぁと思います。

  16. きっとShibuyaを知らない人にも、そこに立っているような感覚を得られるんじゃないかと思いました。内に入りつつ、パッと戻る視点にハットトリックです。

  17. @ぺけねこ
    さん
    わ、嬉しいです!
    内に入りながら外にも向いてるガラス張りみたいな感じで。ハットトリックってサッカーでしたっけ(笑)スポーツは観るよりやる方が好きで、褒めてくださっているのはわかります!ありがとうございます!

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