スケッチ -朝-
自分がどこにいるかも
分からなくなり
抱えた悩みに
長い長いトンネルを
歩いているような夜だった
それでもいつか
地平線は明るみ
やがて光を強め
眠っていたものたちの
見ていた夢は
夜の帳と溶けて消え
私のもとにも光はさし
朝日に照らされて
夜露に濡れながら
一つずつ一人ずつ
夜の眠りから抜け落ちて
鮮やかな彩りに目覚めていく
ほろりと心の中で
ほどけるような心地がして
朝を告げるヒヨドリの声が
静寂を破り
空へ響き渡る
ああ、そうだったのかと
腑に落ちて
半月が朝の空に残っている
夜の輝きを脱ぎ去り
穏やかに
幻のように白く淡く
明けてゆく空は
雲一つなく
青く深く続き
悩みなど知らぬげに
平穏をまとっている
コメント
短歌や俳句で、「写生とは、目に見えるようにすること」と「いうような」ことを、(記憶がおぼろですが)たぶん、詩人の 大岡信さんが自著『正岡子規―五つの入口』(岩波書店)で、書いていたように思います。(今、ちょっと探したけど、この本で、上記の言葉は見つからない。この本だったという記憶はある)。
この詩は、朝のほんわかりん、とした空気感をよくスケッチしてあると感じます。
この詩の話者(あるいは、作者)は、眠れない夜を過ごしたのだろうか。でも、夜が明けて、光に満ちる朝を迎えられた。そのことに、希望を感じる詩になっています。
AIに聞いたら、上記の「写生とは、目に見えるようにすること」という言葉を、大岡信さんがその本で言っているそうです。ほっ、合ってたみたいです。^^
@こしごえ さん、コメントありがとうございます。
過分な言葉をいただいているようで恐縮しきりです。スケッチという意味ではヒヨドリよりモズの鳴き声が正解だったかもしれません・・・とある朝の雰囲気が伝われば幸いです。
日々日常の場面場面(空、雲、街、風等々いっぱい)日々秒刻みで変化していく感情、現在過去未來、写生しておいて、のちのち色をつけていくのよねー縫い合わせていく場合もあるけどねー俳句ほどストイックにはやってないけど、なんかねーアンテナははってるよねーそれが窮屈に思うときもあるけど、そしたら書かねばいいんだしねーありがとうございました。
@三明十種 さん、そうなんですよね。みんなこうして色々ためて色つけて書いてるんですよね。次は何色かな。
ありがとうございました。