まわり道
曇っている下で、 雨上がりの葉は つやつ...
微熱
── 微熱が台所の音に責められてい...
どんこなます
俺の息子が生きてりゃよ 今ならメジャーで...
アシンメトリー
焼酎お茶割り三、四杯 もう決まっちゃう ...
ひとつであれば
ひとつであれば これもあれもそれも 僕の...
垂直に立つ
ロックは叫び パンクは態度 僕は屹立する...
シロバナムシヨケギクは電子蚊取りの夢を見るか
店が賑わいを見せる頃、見馴れない一人...
浄土ヶ浜
涙の分だけ人は強くなるだなんていいます ...
シャドウボクサー
少年の頃 目の前に立ちはだかる でかい...
失風講
アパートの壁には小さな孔あって 燐室の猿...
酔えば官軍
緊急事態最中 押さえ込まれる気持ち 外出...
子供たちは真夜中を指さす
かの祖父 老いぼれはスパゲティ戦から帰還...
ある世界
ひっそりと光るそよ風の縁にあなたと私がい...
先生
先生はおもむろに厚い本を取り出し、その中...
リズム
まいにちちがうリズムに おどらされて ワ...
梅雨入り
通り雨が ガラス窓を叩いて 水の季節を告...
夜に想う
寝室の灯り 消すと月あかりのようにしばら...
ビアホールで
好みの飲み物を手に 男たちが雑談をしてい...
シルクワーム
にび色の 繭玉 落ちて 割れて 光を放つ...
志向性
目がいいというのは 単に視力のことだけで...
日食
見覚えのない黒い髪飾り 転がって 身に覚...
日常という名の迷宮
アクアリウムの狭い部屋 唯一の空想に遮ら...
鬼蜘蛛と私
鬼蜘蛛の 運命の糸で できている 巣が軒...
ウルトラマンの人形 ―江ノ電にて―
江ノ電の窓辺に凭れ 冷たい緑茶を飲みな...
壁を叩いた提督
曖昧な 真の時空に咲くエバァと小鳥 ひ...
バースデイ
はじまりの海は遠浅で かなしむことをまだ...
距離
近すぎて ぶつかってしまったり 遠すぎて...
夜のプール
夜のプールで 水音だけ響かせ 泳いでいた...
げつようびの朝
お空のくもに なったきぶんで ふわふわ ...
雨に沈む
ざあざあと傘が泣いてる 交差点に人はまば...