日常という名の迷宮
アクアリウムの狭い部屋 唯一の空想に遮ら...
鬼蜘蛛と私
鬼蜘蛛の 運命の糸で できている 巣が軒...
ウルトラマンの人形 ―江ノ電にて―
江ノ電の窓辺に凭れ 冷たい緑茶を飲みな...
壁を叩いた提督
曖昧な 真の時空に咲くエバァと小鳥 ひ...
バースデイ
はじまりの海は遠浅で かなしむことをまだ...
距離
近すぎて ぶつかってしまったり 遠すぎて...
夜のプール
夜のプールで 水音だけ響かせ 泳いでいた...
げつようびの朝
お空のくもに なったきぶんで ふわふわ ...
雨に沈む
ざあざあと傘が泣いてる 交差点に人はまば...
誤変換の夢
プロフィールに職業を書く欄があった 始め...
風のわざ
わたしは欠けた器です あなたも欠けた器...
六つのこと
一 散歩をする 腕時計の竜頭をねじっ...
オールドスクール
圧風の中 走り続けた日々 弱気はマンホー...
炭酸
雑居ビルからの反射光が背中を焼く 乾涸び...
うすむらさきいろ
夜明け前のベランダからきみが飛ばした紙飛...
花として 人として
今日咲いたあなたを まだ咲けないわたしが...
影
斜めに射す陽が ようやく黄金色に熟して ...
もうひとつの時間
池のほとりに咲く梔子の 抑えた柔らかみを...
いちごジャム
子どものころ読んだ絵本で 小人のおばさん...
7時にこの青は出ないよ
暗めでも 冬の お前のあれが 熱くなる ...
穏やかな朝に
まじめであることが 自滅を意味することも...
肉を詰めたピーマン
今夜は ピーマンの 肉詰め 大人になって...
タワーレコード
パブロハニーな君の首を噛む つづれおりの...
風呂
色素と共に 流れ出してゆく 私の成分...
モノクロ
かたんかたん 朝もやを抜け出し静かな旅立...
イアトロジェニック彼女
エルゴタミン(1)の使い過ぎで頭痛は増幅...
ぼくのトンボ
ちびた鉛筆 のようなトンボが 風をひっか...
雲影
あの日 火葬の煙が 一筋昇り雲となって ...
いのちは
深くて静かな宙を一羽の鳥は行く 深くて静...
飼われて思うこと
疫病学の専門家は外に出るなと言い カウン...